組織の成長や競争力強化に欠かせない従業員研修。
しかし、実際には多くの企業で「研修の受講率が思うように上がらない」という課題が見られます。受講率が低いままだと、研修の効果が薄れ、組織全体のスキルアップや意識改革につながりにくくなってしまいます。
今回は、受講率が低迷する主な原因を大きく3つに絞り、課題のポイントをわかりやすく解説します。さらに、それぞれの問題に対する初歩的な対策もご紹介するので、まずは自社の状況と照らし合わせてみてください。

1. 参加動機の不足
研修の目的や内容が受講者にしっかり伝わらないと、「なぜ受ける必要があるのか」が理解されず、参加の意欲がわきません。
特に、「業務に直接役立つのか」「自分のキャリアアップにつながるのか」という点が見えにくいと、研修への関心は低くなりがちです。
過去に参加した研修の内容や進め方に満足できなかった経験があると、次回の研修への期待感も下がってしまいます。また、研修の成果が見えにくいと、「参加しても意味がない」と感じることもあります。
<すぐできる対策>
・研修の目的や期待できる成果を具体的かつわかりやすく伝える。
・仕事にどう活かせるかの実例や成功事例を紹介する。
・参加者の声を反映して研修内容の改善に努める。
2. スケジュールが合わない
多くの企業で、業務のピーク時や繁忙期に研修が設定されることがあります。こうした時期に研修を受けることは、参加者にとって大きな負担となり、受講率が下がる原因になります。
さらに、固定の時間や場所での受講を強いられると、業務やプライベートの調整が難しくなり、参加が億劫になることもあります。特にリモートワークやフレックスタイム制を導入している企業では、受講環境の柔軟性が求められます。
<すぐできる対策>
・業務の繁忙期を避けて研修日程を設定する。
・複数日程や時間帯を用意し、参加者が選択できるようにする。
・オンライン受講や録画配信を活用し、時間と場所の制約を減らす。

3. コミュニケーション不足
研修案内が一方的な連絡だけに終わると、受講者にとって研修の意義や価値が伝わりにくくなります。また、疑問点や不安が解消されず、参加の障壁になることも少なくありません。
さらに、経営層や管理職からの研修参加の奨励が弱い場合、組織全体として研修の重要性が浸透しにくくなります。こうした環境では、研修が単なる「やらされ仕事」として受け止められてしまう恐れがあります。
<すぐできる対策>
・案内メールや社内ポータルだけでなく、説明会や質疑応答の場を設ける。
・受講者からのフィードバックを積極的に収集し、双方向のコミュニケーションを促す。
・経営層や管理職が積極的に研修の意義を発信し、参加を後押しする。
前編のまとめ
受講率が上がらない背景には、参加動機の不足、スケジュールの不適合、コミュニケーション不足の3つの大きな課題があります。これらは単独で起こることもあれば、複合的に絡み合っていることも多いです。まずは自社の状況をよく分析し、どのポイントがボトルネックになっているかを見極めましょう。
次回の後編では、これらの課題に対する具体的かつ実践的な解決策を詳しく紹介します。ぜひ後編もご覧いただき、受講率向上に向けた取り組みの参考にしてください。
なお、研修の設計や運用に関してお困りの際は、合同会社Synplanningまでお気軽にご相談ください。組織の実情に合わせた最適なプランをご提案し、効果的な研修実施をサポートいたします。