「夏のセキュリティ特集」第3回:外出先での“うっかり接続”が招くリスク
夏の出張・帰省・旅行シーズンは、普段とは違う場所・環境で仕事をする人が増える時期。
そんな中で便利なのが、駅やカフェ、ホテルなどにある無料の公衆Wi-Fiですが――
その気軽な利用が、情報漏えいや攻撃の入り口になってしまうこともあります。
本シリーズでは、夏に増えがちなセキュリティリスクをテーマにお届けしています。
第1回はシャドーITと私物デバイス、第2回はクラウドの公開設定ミスについて解説しました。
今回は、出先でつなぐWi-Fiのリスクと対策をまとめます。
無料Wi-Fiの“落とし穴”とは?
✅ 通信が暗号化されていない
多くの無料Wi-Fiスポットでは、通信が暗号化されていない、または暗号化が不完全なことがあります。
その結果、同じWi-Fiに接続している第三者に、通信内容を傍受される可能性があります。
✅ なりすましアクセスポイント
もっと危険なのは、攻撃者が設置した偽のWi-Fi(なりすましAP)。
見た目は「Free_WiFi」「cafe-wifi」など、正規のものとほとんど見分けがつかず、
接続した瞬間に通信内容が監視されたり、悪意のあるサイトに誘導されたりすることがあります。
✅ 自動接続の危険
スマホやPCが以前接続したSSIDに自動接続してしまう設定の場合、
悪意のあるWi-Fiに勝手につながってしまうこともあります。
実際に起こり得るリスク
- メールアカウントや業務システムのID・パスワードが盗まれる
- クラウドストレージや社内チャットが第三者にのぞき見られる
- ダウンロードしたファイルにマルウェアが仕込まれる
- フィッシングサイトに誘導されて社内情報を入力してしまう
どれも、「少しだけWi-Fi使って仕事をしたつもりが…」という短時間の利用でも発生しうるリスクです。
公衆Wi-Fi利用時のセキュリティ対策
✅ VPNの使用(最重要)
VPN(Virtual Private Network)を使えば、通信が暗号化されるため、
第三者に傍受されるリスクを大幅に減らせます。
業務用端末には必ずVPNを設定しておきましょう。
✅ HTTPSを確認する
接続先のURLが「http://」で始まる場合は要注意。
URLの最初が「https://」になっていることを確認し、SSL/TLSで通信が保護されているかをチェック。
✅ 自動接続をOFFにする
端末の「以前使ったWi-Fiに自動接続」設定をOFFにすることで、
悪意のあるWi-Fiに勝手につながるのを防げます。
✅ 信頼できるスポットだけ使う
よく知っているカフェや駅だからといって、必ずしも安全とは限りません。
できるだけ業務に関わる操作は避けるか、テザリングなどの代替手段を使いましょう。
企業が取るべき対策
- VPN利用をルールとして明文化し、全社員に徹底
- 公衆Wi-Fiのリスクを定期的な教育や社内ポータルで周知
- 社外からのアクセスはMFA(多要素認証)必須にする
- 業務端末の持ち出しルール(持ち出し先/時間帯制限など)の整備
特に夏休み前には、「外で業務を行う際の注意点」をまとめてアナウンスしておくことが効果的です。
まとめ:Wi-Fiの便利さに潜む「見えない危険」に気づこう
公衆Wi-Fiは、たしかに便利です。
でもその裏には、「なにが起きているのか見えない」リスクがあります。
一度情報が漏えいしてしまえば、回収することはほぼ不可能。
だからこそ、「つなぐ前のひと手間」こそが、最大のセキュリティ対策になります。