情報資産管理台帳は、企業が保有する情報資産を把握・管理するための重要な台帳です。
しかし、「名前は聞いたことがあるものの、何を記載すればよいのか分からない」「ISMSやPマーク取得時に必要と言われて初めて存在を知った」という方も多いのではないでしょうか。
情報資産管理台帳を整備しておくことで、情報漏えいのリスクを低減できるだけでなく、インシデント発生時の初動対応や、日常的な情報資産の管理・棚卸しもスムーズに進められます。
一方で、台帳が整備されていないと、どこに重要な情報が保管されているのか分からず、対応の遅れや管理漏れにつながるおそれがあります。
この記事では、情報資産管理台帳の役割や必要性をはじめ、記載すべき項目や作成手順、運用時のポイントまで、企業担当者の方にも分かりやすく解説します。
情報資産管理台帳とは?企業に必要な理由と役割
情報資産管理台帳は、企業が保有する情報資産を一覧で管理するための台帳です。
パソコンやサーバーだけでなく、クラウドサービスや顧客情報、紙の契約書なども企業にとって重要な情報資産に含まれます。
こうした情報を適切に管理することで、情報漏えいの防止や業務の効率化、インシデント発生時の迅速な対応につながります。
まずは、情報資産管理台帳の役割と、企業で整備する必要がある理由を見ていきましょう。
情報資産管理台帳とは
情報資産管理台帳とは、企業が保有する情報資産を一覧で管理するための台帳です。
情報資産ごとに管理者や保管場所、重要度などを記録することで、「どこに」「どのような情報があり」「誰が管理しているのか」を把握できるようになります。
ここでいう情報資産とは、パソコンやサーバーだけを指すものではありません。
顧客情報や契約書、業務マニュアル、クラウドサービス、USBメモリなど、企業活動に関わるあらゆる情報や、それらを保存・利用する媒体が対象になります。
情報資産管理台帳の役割は、こうした情報資産を可視化し、適切に管理することです。
管理状況を一覧で確認できるため、情報漏えいの防止や運用ルールの徹底、万が一のインシデント発生時にも迅速な対応につながります。
なぜ企業に情報資産管理台帳が必要なのか
企業では、業務のデジタル化が進むにつれて管理すべき情報資産も増え続けています。
しかし、情報資産を正確に把握できていないと、どこに重要な情報が保管されているのか分からない状態になり、適切な管理が難しくなります。
情報資産管理台帳を整備することで、保有している情報資産を見える化できるため、不要な情報の削除やアクセス権限の見直しなど、日常的な管理を効率よく進められます。
また、情報資産管理はセキュリティ対策の土台でもあります。
どのような情報を守るべきかが明確になって初めて、アクセス制御やバックアップ、情報漏えい対策などの具体的な対策を適切に実施できます。
情報資産管理台帳がない企業で起こる困りごと
情報資産管理台帳が整備されていない場合、インシデントが発生した際の初動対応が遅れる可能性があります。
例えば情報漏えいが発生しても、どのシステムに対象の情報が保存されているのか把握できず、影響範囲の特定や対応に時間がかかることがあります。
また、退職者や異動した社員のアカウントやアクセス権限がそのまま残ってしまい、内部不正や誤操作のリスクが高まるケースも少なくありません。
さらに、「担当者しか管理場所を知らない」「同じようなデータが複数存在している」といった状態では、必要な情報を探すだけでも時間がかかり、業務効率の低下や属人化につながる恐れがあります。
どのような場面で活用されるのか
情報資産管理台帳は、日常的な情報資産の管理だけでなく、さまざまな場面で活用できます。
例えば、新しいパソコンやクラウドサービスを導入した際には、情報資産管理台帳へ登録することで管理漏れを防げます。
また、定期的な棚卸しを行う際にも、不要になった情報資産や利用されていないアカウントを見直す基準として活用できます。
さらに、セキュリティ対策の見直しや監査への対応でも、情報資産管理台帳は重要な資料になります。
企業が保有する情報資産を正しく把握し、継続的に管理していくための基盤として、日々の運用に役立てることが大切です。
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情報資産管理台帳に記載する主な項目と記載例
これだけは押さえたい基本項目
情報資産管理台帳には決まったフォーマットはありませんが、情報資産を適切に管理するために必要な項目を記載することが重要です。
最初から細かい項目をすべて作成する必要はありません。
まずは「何を」「誰が」「どこで」管理しているのかが分かる内容から始めると、無理なく運用できます。
代表的な記載項目は以下のとおりです。
| 項目 | 記載例 | ポイント |
|---|---|---|
| 情報資産名 | 顧客管理システム | 管理対象が分かる名称を記載する |
| 保管場所 | Microsoft 365、NAS、共有フォルダ | 保存場所を明確にする |
| 管理責任者 | 総務部 ○○ | 管理担当者を決めておく |
| 利用者・利用部門 | 営業部、総務部 | 利用できる範囲を明確にする |
| 重要度 | 高・中・低 | 自社ルールに沿って分類する |
| バックアップ | 毎日実施 | 実施状況や頻度を記録する |
| 備考 | 個人情報を含む | 特記事項や注意点を記載する |
会社によって必要な項目は異なりますが、運用を続けやすいシンプルな構成にすることがポイントです。
情報資産管理台帳の記載例
実際の情報資産管理台帳は、ExcelやGoogleスプレッドシートで作成する企業も少なくありません。
以下は記載イメージの一例です。
| 情報資産名 | 保管場所 | 管理責任者 | 利用部門 | 重要度 | バックアップ |
|---|---|---|---|---|---|
| 顧客管理システム | Microsoft 365 | 総務部 | 営業部・総務部 | 高 | 毎日 |
| 勤怠管理システム | クラウド | 総務部 | 全社員 | 中 | サービス提供者 |
| 社内共有フォルダ | NAS | 情シス担当 | 全社員 | 高 | 毎日 |
| ノートPC | 社員貸与 | 情シス担当 | 営業部 | 中 | OneDrive同期 |
このように一覧化することで、どの情報資産を誰が管理し、どこに保存されているのかを一目で把握できるようになります。
クラウドサービスや持ち出し端末を管理する際のポイント
近年はクラウドサービスの普及やテレワークの増加により、情報資産の管理対象はパソコンやサーバーだけではなくなっています。
例えば、Microsoft 365やGoogle Workspaceなどのクラウドサービス、各種SaaS、社員が利用するノートPCやUSBメモリなども重要な情報資産です。
これらは社内サーバーのように目に見える設備ではないため、管理漏れが発生しやすい傾向があります。
利用中のサービスや端末を情報資産管理台帳へ登録し、管理責任者や利用部門を明確にしておくことが重要です。
また、サービスの利用終了や端末の廃棄・入れ替えがあった際には、情報資産管理台帳もあわせて更新することで、管理漏れや不要なアカウントの放置を防ぐことができます。
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情報資産管理台帳の作成手順
情報資産管理台帳は、一度作成して終わりではなく、継続的に更新・運用していくことが重要です。
しかし、「何から始めればよいのか分からない」という担当者の方も少なくありません。
ここでは、情報資産管理台帳を作成する際の基本的な流れを4つのステップに分けて解説します。
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは情報資産を把握し、無理なく運用できる形で作成することを意識しましょう。
STEP1:情報資産を洗い出す
まずは、自社で管理している情報資産を洗い出します。
パソコンやサーバーだけでなく、クラウドサービス、共有フォルダ、USBメモリ、紙の書類など、業務で利用している情報資産をできるだけ漏れなく整理することが重要です。
情報システム部門だけで把握できるとは限らないため、各部署へヒアリングを行いながら進めると、管理漏れを防ぎやすくなります。
STEP2:情報資産の重要度を整理する
洗い出した情報資産は、重要度に応じて分類します。
例えば、顧客情報や契約書など、情報漏えいが発生した場合に影響が大きいものは優先的に管理する必要があります。
一方で、社内向けの一般資料などは比較的低い重要度として整理するなど、自社の業務に合わせた基準を決めることがポイントです。
重要度を整理しておくことで、アクセス権限やバックアップ、保管方法なども適切に検討しやすくなります。
STEP3:管理責任者と利用ルールを決める
情報資産ごとに、誰が管理するのかを明確にしましょう。
管理責任者が決まっていないと、更新や見直しが行われず、情報資産管理台帳が形骸化してしまう原因になります。
あわせて、「誰が利用できるのか」「社外への持ち出しは可能か」「バックアップは誰が実施するのか」といった運用ルールも整理しておくことで、日常的な管理がしやすくなります。
STEP4:Excelなどで一覧化する
情報資産を整理したら、ExcelやGoogleスプレッドシートなどを利用して一覧化します。
最初から専用ツールを導入する必要はありません。
まずは情報資産を正しく把握し、継続的に更新できる仕組みを作ることが大切です。
管理する情報資産が増えたり、複数拠点での運用が必要になったりした場合は、管理ツールの導入を検討するのも一つの方法です。
まずは無理のない範囲で運用を始め、継続して更新できる情報資産管理台帳を目指しましょう。
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作っただけで終わらせない!情報資産管理台帳を運用するポイント
情報資産管理台帳は、作成した時点がゴールではありません。
情報資産は日々増減し、担当者や利用状況も変化するため、継続的に更新・見直しを行うことが重要です。
ここでは、情報資産管理台帳を形骸化させないために押さえておきたい運用のポイントを紹介します。
更新ルールを決める
情報資産管理台帳を継続的に運用するためには、更新ルールを明確にしておくことが大切です。
例えば、「新しい情報資産を導入したとき」「システムを廃止したとき」「管理責任者が変更になったとき」など、どのタイミングで更新するのかをあらかじめ決めておくことで、更新漏れを防げます。
また、「誰が更新するのか」を明確にしておくことも重要です。
担当者が曖昧なままでは、情報資産管理台帳が最新の状態に保たれなくなる恐れがあります。
定期的に棚卸しを実施する
日々の運用だけでなく、定期的な棚卸しも欠かせません。
年に1〜2回程度を目安に、現在利用している情報資産と情報資産管理台帳の内容を照らし合わせ、不要になった情報資産や登録漏れがないかを確認しましょう。
このタイミングで利用していないアカウントや不要なクラウドサービスなども見直すことで、セキュリティリスクの低減やコスト削減にもつながります。
入退社や部署異動時に必ず見直す
社員の入退社や部署異動は、情報資産管理台帳を更新する重要なタイミングです。
利用者や管理責任者が変わったにもかかわらず台帳を更新しないと、退職者のアカウントが残ったままになったり、実際の運用と台帳の内容が一致しなくなったりする可能性があります。
アカウントの追加・削除やアクセス権限の変更を行う際は、情報資産管理台帳もあわせて更新する運用を社内ルールとして定着させることが大切です。
最初はExcelやGoogleスプレッドシートによる管理でも十分です。
情報資産が増えたり、管理対象が複雑になったりした場合には、専用ツールの導入も検討すると、より効率的に運用できるでしょう。
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まとめ
情報資産管理台帳は、企業が保有する情報資産を適切に管理し、情報漏えいやインシデントのリスクを低減するための重要な管理台帳です。
「何を管理しているのか」「誰が管理しているのか」「どこに保管されているのか」を明確にすることで、日常的な情報資産管理だけでなく、トラブル発生時の迅速な対応や、業務の引き継ぎ、セキュリティ対策の見直しにも役立ちます。
情報資産管理台帳は、最初から完璧なものを作る必要はありません。まずはExcelなどを活用しながら、自社の情報資産を整理し、継続して更新できる仕組みを作ることが大切です。
情報資産の見える化は、企業のセキュリティ対策を進める第一歩です。この機会に、自社の情報資産管理を見直してみてはいかがでしょうか。
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