「システム管理は外部の専門会社に任せているから安心」
そう考えている中小企業は多くあります。
実際、限られた人員のなかで、自社だけですべてのIT運用を管理するのは現実的ではなく、外部サービスや委託会社を活用すること自体は合理的な判断です。
一方で近年は、自社が直接攻撃を受けていないにもかかわらず、委託先や利用サービス側のトラブルによって業務が停止するケースも増えています。
たとえば、
- 利用しているクラウドサービスが停止した
- 保守会社側で障害が発生した
- バックアップサービスに不具合が起きた
といった理由で、メールや業務システムが使えなくなり、業務そのものが止まってしまうケースです。
こうした場面で問題になりやすいのが、『どこまで委託先が対応してくれるのか』、『自社側で何を把握しているのか』 が曖昧なまま運用されている状態です。
本記事では、最近の事例にも触れながら、外部委託が『丸投げ』になってしまうことで発生しやすい運用上のリスクと、中小企業でも確認しておきたいポイントを整理します。
なぜ「自社は攻撃されていない」のに業務が止まるのか
近年増えているのは、自社のセキュリティ対策の隙を突かれるケースだけではありません。
実際には、委託先や利用している外部サービス側のトラブルによって、自社の業務まで停止してしまうケースも少なくありません。
特に現在は、クラウドサービスや外部ベンダーを活用しながら業務を行う企業が増えており、『自社だけで完結する運用』のほうが少なくなっています。
そのため、自社が直接攻撃されていなくても、委託先や利用サービス側の障害によって影響を受けるケースが増えています。
委託先や外部サービスの障害が業務へ影響することがある
たとえば、朝出社したらメールが送受信できない、業務システムへログインできない、といった状況になるケースがあります。
原因を調べてみると、自社側ではなく、利用しているクラウドサービスや保守会社側で障害や不具合が発生していた、というケースも珍しくありません。
最近では、委託先企業がランサムウェア被害を受けたことで、複数の利用企業へ影響が広がった事例も報道されています。
こうしたケースでは、『自社は直接攻撃されていない』にもかかわらず、業務が止まってしまうことが大きな問題になります。
クラウドや外部ベンダーへの依存は年々増えている
現在は、クラウドサービスや外部ベンダーを活用しながら業務を行うこと自体が一般的になっています。
特に中小企業では、限られた人数でIT運用を行っているケースも多く、外部委託を前提に運用している企業も少なくありません。
そのため、委託先や利用サービス側で障害が発生すると、社内だけでは状況把握や代替対応が難しくなることがあります。
また、『どこへ連絡すればよいのか分からない』『今どこまで復旧しているのか把握できない』といった状態になりやすいのも特徴です。
最近は『取引先経由』で影響が広がるケースも増えている
近年は、自社単体ではなく、取引先や委託先を経由して影響が広がるケースも増えています。
特にランサムウェア被害では、1社だけでなく、その企業とつながっている複数組織へ影響が及ぶケースも珍しくありません。
そのため重要なのは、『外部サービスを使わないこと』ではなく、『止まった時にどうなるかを把握していること』です。
普段は問題なく動いていても、障害やインシデントが発生した瞬間に、『実は自社側で状況をほとんど把握できていなかった』という状態が表面化するケースもあります。
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「専門会社に任せているから安心」に潜む落とし穴
外部の専門会社へシステム運用を委託すること自体は、決して悪いことではありません。
限られた人数でIT運用を行う中小企業にとって、専門会社の支援を受けながら運用することは、現実的かつ合理的な選択です。
一方で、トラブルにつながりやすいのが、『委託先がやってくれていると思っていたこと』と、『実際に対応範囲へ含まれていたこと』にズレがある状態です。
障害やインシデントは、こうした『認識のズレ』がある状態で発生すると、大きな混乱につながりやすくなります。
障害時の対応範囲が曖昧なまま運用されている
『障害が起きたら、委託先がすぐ対応してくれる』そう考えて運用されているケースは少なくありません。
しかし実際には、障害発生後に問い合わせをしたところ、『監視はしているが復旧作業は契約範囲外だった』『夜間対応は別契約だった』と説明されるケースもあります。
委託先側は契約通りに対応していても、自社側の認識と一致していなければ、現場では『聞いていた話と違う』という混乱が発生します。
特に障害発生時は、状況確認や連絡だけでも時間がかかることが多く、『誰がどこまで対応するのか』が曖昧な状態だと、初動が遅れやすくなります。
バックアップや復旧方法を誤解していることがある
『バックアップを取っているから安心』と考えている企業も多いと思います。
ただし、バックアップが存在することと、すぐに業務を復旧できることは別問題です。
実際には、データ自体は保存されていたものの、復旧作業に時間がかかり、業務再開まで数日必要になるケースもあります。
また、『システム全体を戻せると思っていたが、実際にはファイル単位の保存しか行われていなかった』という認識ズレが発生することもあります。
このように、『保存されている』と『すぐ元に戻せる』は必ずしも同じではありません。
システム構成がブラックボックス化しやすい
外部委託が長く続くと、社内側でシステム全体を把握できなくなるケースがあります。
たとえば、障害が発生しても、
『どのサービスを利用しているのか分からない』
『どこへ連絡すればよいのか分からない』
『設定変更の流れを把握していない』
といった状態になっているケースです。
特に中小企業では、担当者変更や退職によって情報が引き継がれず、『止まった時に誰も触れない状態』になってしまうことも少なくありません。
「自社では分からない状態」が固定化してしまう
外部委託へ依存しすぎると、社内側で『何が分からないのか』すら把握できなくなることがあります。
もちろん、すべてを自社で管理する必要はありません。
しかし最低限、
- どのサービスを使っているのか
- 障害時に誰へ連絡するのか
- どこまで委託しているのか
といった内容を把握しておかないと、トラブル発生時に状況整理そのものが難しくなります。
重要なのは、『外部委託をやめること』ではなく、『自社側でも最低限の状況を把握できる状態』を維持することです。
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外部委託を「丸投げ」にしないための確認ポイント
外部委託そのものが問題なのではなく、『自社側で状況を把握できないまま運用されている状態』がリスクにつながりやすくなります。
もちろん、すべてを自社で管理する必要はありません。
しかし、障害やトラブルが発生した際に慌てないためには、『最低限どこまで把握しておくべきか』を整理しておくことが重要です。
ここでは、中小企業でも比較的取り組みやすい確認ポイントを紹介します。
緊急時の連絡先や対応体制を整理しておく
障害発生時に混乱しやすいのが、『誰へ連絡すればよいのか分からない』という状態です。
特に、担当者任せになっている場合、本人が不在だと連絡先自体が分からなくなるケースもあります。
そのため、
- 緊急時の連絡先
- 夜間や休日の連絡方法
- 社内で誰が対応判断を行うのか
といった内容は、あらかじめ整理しておくことが重要です。
特別な管理ツールを導入しなくても、『最低限の連絡先一覧を残しておく』だけでも、初動の混乱を減らしやすくなります。
最低限のシステム構成や利用サービスを把握しておく
外部委託が長く続くと、社内側で『どのサービスを利用しているのか分からない』状態になってしまうことがあります。
たとえば、
- どのクラウドサービスを契約しているのか
- 誰が管理者権限を持っているのか
- どの業務がどのサービスへ依存しているのか
といった情報が整理されていないケースです。
もちろん、細かい設定内容まですべて理解する必要はありません。
ただし、『何を使っているのか』『どこが止まると困るのか』を把握しておくだけでも、障害発生時の対応は大きく変わります。
障害時にどこまで対応してもらえるか確認しておく
『障害が起きたら委託先が対応してくれる』と考えていても、実際には対応範囲が限定されているケースもあります。
たとえば、
- 障害検知のみ
- 平日日中のみ対応
- 復旧作業は別契約
といった形で、想定していた支援内容と違っていた、というケースです。
そのため、『どこまで対応してもらえるのか』『何が契約範囲外なのか』は、事前に確認しておくことが重要です。
契約書を細かく読み込まなくても、まずは委託先へ『障害が起きた場合、どこまで対応してもらえますか?』と確認してみるだけでも違います。
アカウントや権限情報を定期的に見直す
外部委託が続くと、アカウントや権限情報の管理が曖昧になるケースがあります。
特に、
- 退職者アカウントが残っている
- 誰が管理者権限を持っているか分からない
- 委託先へ広い権限を付与したままになっている
といった状態は、トラブルやセキュリティリスクにつながりやすくなります。
そのため、『現在どのアカウントが存在しているのか』『誰がどの権限を持っているのか』は、定期的に確認しておくことが重要です。
委託先と定期的に状況共有を行う
障害やトラブルは、普段コミュニケーションが少ない状態ほど対応が難しくなりやすい傾向があります。
そのため、障害発生時だけでなく、普段から状況共有を行っておくことも重要です。
たとえば、
- 現在利用しているサービス構成
- 最近変更した設定
- 運用上の不安や課題
などを定期的に共有しておくことで、認識ズレを減らしやすくなります。
特に中小企業では、『詳しいことは分からないが、何となく不安』という状態になっているケースも少なくありません。
だからこそ、問題が起きてからではなく、普段から『今どういう状態なのか』を確認できる関係を作っておくことが重要です。
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まとめ
外部の専門会社へシステム運用を委託すること自体は、現在では一般的な運用方法です。
特に中小企業では、限られた人数でIT運用を行うケースも多く、外部サービスや委託先の支援なしで運用を維持するのは現実的ではありません。
一方で、問題になりやすいのが、『委託しているから安心』という状態のまま、自社側で状況を把握できなくなってしまうことです。
実際には、
- 障害時の対応範囲が曖昧だった
- 復旧方法への認識がずれていた
- 連絡先や管理情報を把握できていなかった
といった理由で、トラブル発生時に大きな混乱につながるケースも少なくありません。
重要なのは、『外部委託をやめること』ではなく、『自社側でも最低限の状況を把握できる状態』を維持することです。
特別なツールや大規模な仕組みがなくても、
- 誰へ連絡するのか
- どこまで委託しているのか
- 何が止まると業務へ影響するのか
といった内容を整理しておくだけでも、障害発生時の混乱を減らしやすくなります。
『今の運用状況をどこまで把握できているか分からない』
『委託先へ任せているが、実際の対応範囲までは整理できていない』
そう感じている場合は、一度現状を見直してみることも重要かもしれません。
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『何が分からないのか分からない』
『今の委託状況で問題ないのか不安』
といった段階からでも、お気軽にご相談ください。