せっかく研修を用意したのに、受講率がなかなか上がらない。
期限が近づいてリマインドメールを送っても反応が薄く、終わってみれば受講率60〜70%で着地
——そんな経験をお持ちの担当者は多いのではないでしょうか。

「必要性はわかっているはずなのに、なぜ受けてもらえないのか」。
この問いの答えは、従業員のやる気や意識の問題ではなく、研修の設計・伝え方・運用の構造にあることがほとんどです。

この記事では、受講率が伸び悩む背景にある具体的な原因を整理したうえで、情シス・人事・総務の担当者がすぐに取り組める改善アプローチを紹介します。

研修受講率が上がらない主な原因

受講率が伸び悩む背景には、いくつかの共通した構造的な課題があります。
「うちの従業員はやる気がない」と片づける前に、まず以下の原因に心当たりがないか確認してみてください。

現場が忙しく、研修が後回しにされる

「業務が落ち着いたら受けよう」——この判断が積み重なると、受講期限直前まで誰も動かない状態が生まれます。
特に繁忙期と受講期間が重なった場合、担当者がリマインドを送っても「今は無理」という反応が返ってくることも少なくありません。
研修が『業務の合間にやるもの』として位置づけられている限り、後回しは構造的に発生し続けます。

研修の必要性が受講者に届いていない

「受けてください」という案内は出ているが、なぜ今この研修が必要なのかが伝わっていないケースは非常に多いです。
特にセキュリティ研修のように「直接的な成果が見えにくいテーマ」は、受講者が自分ごととして捉えにくく、優先度が下がりやすい傾向があります。

管理職が研修を推奨していない

現場の受講率は、管理職の姿勢に大きく左右されます。
「うちのチームは問題ない」「忙しいから今回は仕方ない」という判断が上司から出てしまうと、部下は受講を見送る理由ができてしまいます。
担当部門がいくら丁寧に案内しても、直属の上司が動かなければ受講は促されないというのが現実です。

「お知らせ」だけで完結している

メールや社内掲示で周知して終わり、という運用では、受講者の記憶に残りません。
案内メールは他のメールに埋もれ、掲示は目に入らず、気づいたら期限が過ぎていた——という状況は、周知の設計が受講行動を前提としていないことが原因です。
リマインドのタイミングや頻度、受講手続きの煩雑さも、見えにくい障壁になっています。

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コンテンツや提供方法が受講のハードルになっている

内容や届け方の問題で、受講者が無意識に「後でいいや」と感じているケースもあります。
研修の中身は充実しているのに受講率が上がらない場合、ここに原因が潜んでいることが多いです。

研修の時間が長すぎる

1本あたり30分〜1時間を超えるような研修は、「まとまった時間が取れないと受けられない」という心理的ハードルを生みます。
すき間時間での受講が想定されていない設計になっていると、結果的に「今日は無理」が続いて期限を迎えることになります。

内容がわかりにくい、または難しすぎる

前提知識がないと理解できない内容や、専門用語が多い資料は、受講者に「自分には難しすぎる」という印象を与えます。
また、初学者向けなのか実務者向けなのかが曖昧な構成も、誰にとっても「ちょうどいい研修」にならない原因になります。
対象者のレベルに合わせた設計ができているか、今一度確認が必要です。

システムや受講環境が使いづらい

受講サイトへのアクセス方法がわかりにくい、スマートフォンから見づらい、社外からログインできない——こうした環境面の問題は、受講者が「面倒だから後にしよう」と判断する直接的な理由になります。
コンテンツの質がいくら高くても、入口でつまずくと離脱は避けられません。

そもそも「必要とされていない」と見なされている?

原因や環境の問題とは別に、受講者が研修を「自分には関係ない」と受け取っている可能性も見逃せません。
案内が届いていても、内容が頭に入っていても、「自分ごと」になっていなければ行動にはつながらないからです。

研修の目的やメリットが伝わっていない

「受けてください」という案内だけでは、受講者は受ける理由を自分で見つけなければなりません。
特に『やらされ感』が強い研修ほど、目的やメリットが明示されていないと形式的な受講で終わりやすく、定着にもつながりません。
「なぜ今この研修が必要なのか」「受けることで何が変わるのか」を具体的に伝えることが、行動の第一歩です。

全社共通の内容だと自分ごと化されづらい

全従業員を対象にした一律の研修は、効率的に見える反面、受講者が「自分の業務とどう関係するのか」を感じにくいという課題があります。
営業部門と情報システム部門では日常的なリスクの種類も違いますし、管理職と一般社員では求められる判断も異なります。
内容が自部門の業務や役割と結びついていないと、受講しても「自分には関係なかった」という印象で終わってしまいます。

受講率を上げるための工夫と改善アプローチ

ここまで見てきた原因を踏まえ、情シス・人事・総務の担当者が実際に動ける改善策を紹介します。
すべてを一度に取り組む必要はありません。
自社の課題に近いものから優先的に着手してみてください。

受講の負担感を減らす

まず取り組みやすいのが、受講そのものの「重さ」を軽くすることです。
動画や資料は1本あたり10〜15分程度に分割し、すき間時間でも完了できる設計にするだけで、受講率が改善するケースは少なくありません。
受講期限に余裕を持たせること、スマートフォンや社外環境からもアクセスできるようにすることも、見えにくいハードルを下げる有効な手段です。

メリットを明示し、自分ごと化を促す

「この研修を受けることで、日常業務のどんな場面に役立つか」を具体的に示すことが重要です。
全社向けの案内であっても、部門や役職に応じたひと言を添えるだけで、受講者の受け取り方は変わります。
「自分に関係ある」と感じた瞬間に、行動のスイッチが入ります。

管理職を巻き込む

担当部門からの案内だけでなく、管理職から部下へ直接声をかけてもらう仕組みを作ることが、受講率向上に最も効果的な打ち手のひとつです。
経営層や管理職からの推奨コメントを案内メールに添える、キックオフ時に短い導入動画を共有するといった工夫で、研修の重要性を組織全体に伝えることができます。

告知・リマインドの設計を見直す

案内メールは件名と冒頭の一文で開封率が決まります。
「社内研修のご案内」ではなく、受講者が思わず開きたくなる件名を工夫してみてください。
また、期限の2週間前・1週間前・3日前といったタイミングでリマインドを段階的に送ること、社内ポータルやチャットツールでも再通知することで、案内が埋もれるリスクを減らせます。
受講状況をチームで見える化できると、互いに促し合う文化も生まれやすくなります。

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「伝え方」「見せ方」もひと工夫

内容が充実していても、最初の見せ方やタイミング次第で受講者の反応は大きく変わります
。研修への入口を工夫することで、受講のハードルをさらに下げることができます。

最初の印象をデザインする

研修の開始時にトップや管理職からのメッセージを添えると、「会社として重要視している学び」という位置づけが伝わりやすくなります。
また、本編の前に2〜3分の導入動画や1枚のサマリ資料を用意しておくと、受講者が「どんな内容か」を事前に把握でき、心理的な入りやすさが変わります。

初回は短縮版・体験版から始める

初めて導入する研修や、これまで受講率が低かったテーマは、まず短縮版を用意して「体験」させることが有効です。全編を一度に受けさせるのではなく、エッセンスをまとめた15〜20分の体験版で関心を引いてから本編に誘導する流れをつくると、完走率も上がりやすくなります。

受講後のフィードバックを次に活かす

受講後アンケートで「気づいたこと」「業務に活かせそうなこと」を聞く設計にすると、受講者自身が学びを言語化する機会になります。
担当者にとっても次回の改善に使えるデータが集まるため、研修の質と受講率を同時に高めるサイクルが回り始めます。

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まとめ

受講率が伸びない原因は、従業員のやる気や意識の問題ではなく、伝わっていない・気づいていない・時間が取れないという構造的な課題であることがほとんどです。

まずは自社の状況に照らして、原因がどこにあるかを特定することが第一歩です。
告知の設計を見直すだけで改善するケースもあれば、管理職の巻き込みや研修コンテンツの分割が必要なケースもあります。
すべてを一度に変える必要はありません。
小さな改善を積み重ねることで、受講率と研修の定着度は着実に上がっていきます。

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